2026年6月24日

「毎日一生懸命磨いているのに、なぜ悪くなるのか。私たちは、その答えを『体質』という曖昧な言葉で片付けたくはありません。」
前回のコラムでは、私たちが被せ物の土台(見えない1ミリ)を削る際に、どれほどミクロ単位の科学的根拠にこだわっているかをお話ししました。
今回は、お口の健康を守る上で、多くの方が抱えている「最大の誤解」について紐解いていきたいと思います。
「毎日3回、一生懸命歯を磨いている。甘いものも控えている。それなのに、なぜかまた虫歯になってしまう……」
もしあなたにそんな経験があるなら、どうかご自身を責めないでください。そして、「私は生まれつき歯が弱いから仕方がない」と、諦めないでいただきたいのです。
1、毎日一生懸命に磨いている、あなたへ
日本中の多くの患者様が、「自分は生まれつき歯が弱いから、人一倍虫歯になりやすいんだ」という哀しい思い込みを抱えています。
時に、医療の現場でも「少し歯が弱いのかもしれませんね」といった言葉が、悪くなった理由として語られることがあります。なぜなら、それほどまでに「毎日磨いているのに悪くなる理由」を突き止めることは難しく、複雑だからです。
しかし、その言葉をそのまま受け入れて諦めてしまうのは、あまりにももったいないことです。
あなたのこれまでの努力が報われなかったのは、決してあなたの身体のせいではありません。そこには、まだ見つかっていない「本当の原因」が隠れているだけなのです。
2、人類皆、同じ「エナメル質」という鎧を持っている
ここで、医学的・生物学的な揺るぎない事実をお伝えします。
私たちの歯の表面を覆っているのは、人体の中で最も硬い組織である「エナメル質」という物質です。その硬度は水晶に匹敵し、神様が人間に与えてくれた最高峰の鎧と言えます(※1)。
そして、私たち人間である以上、私でも、あなたでも、世界中のどの人であっても、歯の表面はすべて等しく、この「エナメル質」という同じ物質で構成されています。
それにもかかわらず、なぜ歯がダメージを受けてしまうのか。
現代の国際的な歯科医学において、虫歯は「歯が弱いからなる」のではなく、お口の中の細菌バランス、唾液の性質、臨んだ食習慣といった複数の要因が重なり合って起こる「多因子性疾患」であると定義されています(※2)。
さらに、どれほど強固なエナメル質であっても、夜間の無意識な食いしばりや歯ぎしりによる「過度な応力(力のリスク)」が加わることで、微細なヒビが入って構造から崩壊していくことも分かっています(※3)。
つまり、あなたの歯が弱いからではなく、その頑丈な鎧をも超えてしまうほどの「圧倒的なリスク」が、どこかに潜んでいるからに他なりません。あなたの努力が報われなかったのは、その「リスクの正体」を知る機会がなかっただけなのです。
3、原因の背景にある、あなたの「物語」を紐解く理由
お口の中の環境は一人ひとり異なります。本当の原因を突き止めるには、ただ目視するだけではなく、高度な精密検査と、何よりじっくりと時間をかけた対話が必要です。
「なぜ悪くなったのか」の背景にある、あなたの日常の物語(ライフスタイル)を紐解くこと。
それこそが、私たちがこの石井町にレーヴェを創り、テーマカラーに「太陽(オレンジ)」を掲げた理由です。
私たちは、ただ目の前の穴を埋めるだけの修理屋ではありません。あなたの人生に寄り添い、原因を一緒に見つけ出す「人生の伴走者」です。
施術者全員が拡大鏡を覗き込み、科学の目をもってお口の環境を洗い出す。この徹底した原因へのコミットメントこそが、私たちが貫くゴールドスタンダードです。
あなたの毎日の丁寧なブラッシングは、決して無駄ではありません。ただ、その努力の方向性を、科学の力でほんの少しだけ正しい道へ導いてあげる必要があるだけです。
もう、ご自身の身体のせいにする必要はありません。
その本当の原因を一緒に見つけ出し、あなた自身の資産を、生涯続く笑顔を守り抜きましょう。
あなたの未来の笑顔を、共に創っていきたい。
今日という日が、10年後の笑顔につながるように。私たちは、いつでもここで待っています。 — Löwe
参考文献
※1 Ten Cate’s Oral Histology: Development, Structure, and Function. (エナメル質の物理的特性およびハイドロキシアパタイト結晶構造に関する世界的標準教科書)
※2 Pitts, N. B., et al. “Dental caries.” Nature Reviews Disease Primers, 2017. (虫歯の本質が歯の弱さではなく、細菌・唾液・宿主環境による多因子性疾患であることを示す国際的コンセンサス)
※3 Lobbezoo, F., et al. “International consensus on the assessment of bruxism: Report of a work in progress.” Journal of Oral Rehabilitation, 2018. (夜間の無意識なブラキシズムが歯構造へ与える力学的負荷とリスクに関する国際的クラス論文)